テクニック

ドリフトテクニック

基本の一つひとつから、伝説と呼ばれる大技まで。どれも峠で磨き上げられた職人技だ。

Info

テクニックの応用

ここで挙げたテクニックは、どれもモータースポーツ全般に通じる土台になっている。頭文字Dが描くのは峠(山道の走り)だが、これらの多くはカテゴリーを越えて共有され、それぞれの舞台に合わせて姿を変えている。

峠

山道

ヒール&トゥ、慣性ドリフト、溝落とし、左足ブレーキング、ダブルクラッチ、サイドブレーキドリフト

ドリフト

ドリフト競技

サイドブレーキドリフト、ブレーキングドリフト、慣性ドリフト、ヒール&トゥ、片手ハンドル、左足ブレーキング

WRC / ラリー

世界ラリー

左足ブレーキング、ヒール&トゥ、四輪ドリフト、ダブルクラッチ、サイドブレーキドリフト


レベル 01

基本

全4種

01
難易度 3/5

ヒール&トゥ

ブレーキを踏んだままシフトダウンし、車の姿勢を崩さずにコーナーへ持ち込む技。ラリーでもドリフトでも、走りの土台になる基本だ。

使い手
  • Takumi Fujiwara
  • Ryosuke Takahashi
  • Bunta Fujiwara
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仕組み

右足のつま先でブレーキを踏み、かかとをひねってアクセルをあおる。シフトダウンでつながる回転数を、エンジン側から迎えにいってやるわけだ。駆動系にショックが出ず、リアがロックして流れ出すこともない。

使いどころ

減速とシフトダウンを同時にこなすコーナー進入で。とくに高速コーナーでは、これができるかどうかで車の落ち着きがまるで変わる。

リスク

身につくまでは、とにかく反復あるのみ。あおり方を誤ればリアのトラクションが抜け、踏みすぎればエンジンをオーバーレブさせる。プレッシャーのかかる場面ほど雑になりやすい。

02
難易度 2/5

サイドブレーキドリフト

最も基本的で、見た目にも一番派手な技。サイドブレーキを引いてリアをロックさせ、一瞬でグリップを切り離す。

使い手
  • Itsuki Takeuchi
  • Kenji
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仕組み

コーナーに入る手前、解除ボタンを押したままサイドブレーキを引き上げる。後輪がロックし、その瞬間からリアが流れ出す。

使いどころ

一気に車の向きを変えたいタイトなヘアピンで。始めたばかりでも形になるし、姿勢を崩したときの立て直しにも使える。

リスク

速度の落ち込みが大きい。サイドブレーキのワイヤーもリアタイヤも一気に減る。引き方を誤れば、そのままスピンだ。

03
難易度 2/5

ダブルクラッチ

シフト操作の途中でエンジンとミッションの回転を合わせてやる、古くからある技。シンクロの弱い車ほど効き目がはっきり出る。

使い手
  • Bunta Fujiwara
  • Takumi Fujiwara
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仕組み

クラッチを踏んでギアを抜き、ニュートラルでいったんクラッチをつなぎながらアクセルをあおる。もう一度クラッチを踏んで次のギアへ入れ、静かにつなぐ。

使いどころ

シンクロを持たない旧車や、シンクロが痩せてきたミッションで。ハードに走り込む車のミッションを長持ちさせる効果もある。

リスク

今どきのシフトに比べれば手数が多く、その分だけ遅い。手足の連携が身につくまで練習は欠かせない。あおり方を外すと、ギアの入りがガリッと荒れる。

04
難易度 2/5

ブレーキングドリフト

コーナー手前で強くブレーキを踏み、荷重を前へ移してリアを軽くする。そのままハンドルを切れば、リアはあっさりと流れ出す。

使い手
  • Keisuke Takahashi
  • Takumi Fujiwara
  • Ryosuke Takahashi
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仕組み

コーナーへ向けて加速し、強めのブレーキでフロントに荷重を乗せる。リアが軽いうちにハンドルを切り込み、あとはアクセルを開けてドリフトを持続させる。

使いどころ

中高速コーナー全般。ドリフトのきっかけ作りとしては最もオーソドックスで、応用も広い。FR車ならほとんどどんな車でも通用する。

リスク

踏みすぎればフロントがロックし、アンダーステアに転ぶ。効くブレーキと、まともに残ったタイヤがあることが前提だ。


レベル 02

応用

全5種

01
難易度 4/5

左足ブレーキング

右足をアクセルに残したまま、左足でブレーキを踏む上級テクニック。荷重移動をより速く、より細かく操れるようになる。

使い手
  • Kyoichi Sudo
  • Tomoyuki Tachi
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仕組み

左足はブレーキ、右足はアクセル。二つのペダルを同時に、しかも別々に加減できるのが強みだ。加速を殺さずに前後の荷重だけを動かせるので、車の姿勢を一瞬で作り直せる。

使いどころ

4WD車でターボの過給圧を落とさずに走りたいとき。姿勢の微調整が絶え間なく要求される高速コーナーでも効いてくる。

リスク

ブレーキに熱が入りやすい。左右それぞれの足に繊細な感覚が要る。踏力の加減を誤るとスピンやコースアウトにつながる。

02
難易度 4/5

慣性ドリフト

拓海の代名詞とも言える技。ブレーキに頼らず車の慣性だけでドリフトへ持ち込み、コーナーの速度をいっさい落とさない。

使い手
  • Takumi Fujiwara
  • Bunta Fujiwara
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仕組み

ハンドルを切りながら、アクセルを一気に戻す。エンジンブレーキと荷重移動だけでリアのグリップを抜いてしまう。ブレーキペダルには最後まで触れない。

使いどころ

ブレーキを踏んだ瞬間に貴重なタイムを失う高速コーナーで。コースを知り尽くしていること、そして寸分違わないタイミングが前提になる。

リスク

コントロールは極めて難しい。タイミングを外せば、強烈なアンダーステアかスピンが待っている。前後のバランスが決まっている車でなければ成立しない。

03
難易度 4/5

荷重移動

アクセル、ブレーキ、ハンドルで車の姿勢を意図的に動かし、四輪それぞれのグリップを配分してやる。走りのすべてがこの上に乗っている、土台そのものの技術だ。

使い手
  • Ryosuke Takahashi
  • Takumi Fujiwara
  • Bunta Fujiwara
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仕組み

ブレーキを踏めば荷重は前へ移り、フロントが食ってリアが軽くなる。アクセルを開ければその逆だ。ハンドルを切れば、荷重はコーナーの外側へ乗る。

使いどころ

答えは「常に」だ。腕のあるドライバーは進入から立ち上がりまで、荷重をどこに乗せるかで車の挙動そのものを組み立てている。

リスク

動かし方が乱暴だと、そのまま手に負えなくなる。車の挙動を理屈で理解したうえで、走り込みを重ねるしかない。

04
難易度 4/5

四輪ドリフト

四輪すべてを同時に滑らせたまま曲がっていく技で、4WD車の定番。ランサーエボリューションやインプレッサ乗りの武器だ。

使い手
  • Kyoichi Sudo
  • Tomoyuki Tachi
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仕組み

4WDは四輪すべてに駆動を配る。その配分を利用して四輪を揃って滑らせ、滑りながらも車の向きだけは狙いどおりに保ち続ける。

使いどころ

4WD車だけに許された走り方。滑らせたままコーナーの速度を落とさずに済むため、高速コーナーではFR車に対して明確なアドバンテージになる。

リスク

セッティングの出た4WD車があって初めて成立する。FRのドリフトほど見栄えはしないが、中身ははるかに難しい。バランスを崩した瞬間、車はアンダーステアに飲み込まれる。

05
難易度 4/5

ラリーテクニック

WRCから持ち込まれた技の総称。スカンジナビアンフリック、左足ブレーキング、そしてダートで培われた手法を舗装路へ応用したものだ。

使い手
  • Bunta Fujiwara
  • Tomoyuki Tachi
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仕組み

ラリードライバーはダートで身につけた技を、舗装路用に組み替えて使う。目にも留まらぬカウンターステア、両足を使ったブレーキング、そして容赦のない荷重移動。どれもその一部だ。

使いどころ

雨や砂利といったコンディションの悪い場面、あるいは4WD車で峠を攻めるときに効いてくる。文太は幾度となく、その手本を見せている。

リスク

ダート向けに磨かれた技は、舗装路には荒すぎることがある。両方の路面を走り込み、そのつど加減を変えられるだけの経験が要る。


レベル 03

上級

全3種

01
難易度 5/5

ブラインドアタック

先の見えないブラインドコーナーで仕掛ける追い越し。コースを知り尽くしていること、そして自分の腕への揺るぎない自信がなければ成り立たない。

使い手
  • Takumi Fujiwara
  • Bunta Fujiwara
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仕組み

一つひとつのコーナーを完全に頭へ叩き込む。そのうえで、出口が見えていなくても決めた瞬間にインへ飛び込む。頼りにするのは目ではなく、覚え込んだラインだ。

使いどころ

コースを完全に自分のものにしているときだけ。長年の豆腐配達で路面の石ひとつまで覚え込んだ秋名で、拓海はこれを使った。

リスク

一つ間違えば命に関わる。石、オイル、対向車——予定外のものが一つでもあれば事故は避けられない。知らない道で試していい技ではない。

02
難易度 4/5

片手ハンドル

城島俊也だけが持つ独特のスタイル。ハンドルは片手、空いたもう一方の手はシフトとサイドブレーキに預け、そこで車の姿勢を作る。

使い手
  • Toshiya Joshima
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仕組み

片手はハンドルに置いたまま、もう片方の手はシフトレバーとサイドブレーキの上を絶え間なく行き来する。姿勢の微調整を、そちらの手でこなしてしまうわけだ。

使いどころ

長年の経験と、自分だけの型があって初めて成り立つ。これを毎周こなせるのは城島くらいのものだ。並のドライバーが真似をしていい走り方ではない。

リスク

ハンドル操作の精度はどうしても落ちる。不測の事態では、両手を使えないことが致命傷になりかねない。相当に走り込んだドライバーでなければ、そもそも成立しない。

03
難易度 5/5

高速ドリフト

とんでもない速度域で、ドリフトを破綻させずに維持し続ける技。完璧な反射神経と、ミリ単位のアクセルワークが要る。

使い手
  • Takumi Fujiwara
  • Keisuke Takahashi
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仕組み

この速度域では、動作が少しでも乱暴になった瞬間にスピンする。滑らかに、しかし正確に。ハンドルとアクセルの細かな修正だけでドリフト角を保ち続ける。

使いどころ

進入速度がそのままタイム差になる高速コーナーで。拓海は秋名の高速セクションで、この技を磨き上げた。

リスク

この速度でのミスは取り返しがつかない。横転、派手なコースアウト、あるいはそれ以上。本物だけが触れられる領域だ。


レベル 04

伝説

全2種

01
難易度 5/5

溝落とし・進入

頭文字Dで最も危険で、最も鮮烈な技。コーナー進入で片側のタイヤを排水溝に落とし、速度を殺さないままラインそのものを変えてしまう。

使い手
  • Takumi Fujiwara
  • Bunta Fujiwara
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仕組み

進入で右側のタイヤを狙って排水溝へ落とす。溝がレールの役目を果たし、通常ではあり得ないほど鋭く、内へ回り込む進入が可能になる。

使いどころ

溝が深く、詰まり物のない特定のコーナーでしか成立しない。路面を完全に頭へ入れていることが絶対条件だ。拓海はこれを秋名で使い、高橋兄弟の度肝を抜いた。

リスク

文字どおり命懸けだ。サスペンションもタイヤも一発で壊れるし、横転すらあり得る。溝が土砂で埋まっていたり縁が欠けていたりすれば、その時点で事故は確定する。手の内に入れた者以外が触れていい技ではない。

02
難易度 5/5

溝落とし・立ち上がり

進入よりさらに難度の高い応用。立ち上がりで溝を使い、車を最高速のまま直線へ叩き出す。

使い手
  • Takumi Fujiwara
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仕組み

コーナーを立ち上がる瞬間、外側の溝へタイヤを預ける。溝の縁がカタパルトのように働き、余分な加速をつけたまま車を直線へ弾き出す。

使いどころ

溝が深く、その先に長い直線が控えている立ち上がりで。相手に対して、そこで決定的な加速差をつけられる。

リスク

進入で決めるときより、さらに危険だ。溝から返ってくる衝撃は大きく、アスファルトへ戻る一瞬でコントロールを失うこともある。